• Essay#5 SONG OF THE WIND

    Posted on 4月 25, 2013 by in Essay&Column

    志貴皇子の秀歌と同じくらい大好きな春の歌、サンタナの四枚目のアルバム『キャラバンサライ』に収録された

    『SONG OF THE WIND』、邦題は『風の歌』――こちらは音楽、インストナンバーだ。

    カルロス・サンタナが、春をイメージして作曲、演奏したのかどうかは知らない。

    だけど、この曲を聴くたびに、私の胸のうちでは「のたり、のたりかな」という春の浜辺のシーンが浮かんでくる。

    朝ぼらけ、波のおだやかな海から、太陽があわいブルーの色彩を従えて昇ってくる。

    空の青、海の蒼が混然一体になる瞬間と、この曲のハイライトが重なる。

    しかし、それは激烈な一瞬ではない。何度も書くけれど、のたり、のたり、茫洋としている。曙光は神々しいまでにまばゆく、頬にあたる風がほんわか、あたたかい。

     

    サンタナの演奏で、『SAMBA PA TI(君に捧げるサンバ)』(アルバム『アブラクサス』収録)もマイ・フェイバリット・ソングだ。こっちは真夏の海に、オレンジ色のギラついた太陽が、けだるい暑さを引きずりながら沈んでいくイメージが強い。

    ま、勝手な私の思いこみでしかないのだが、チャンスがあれば聴きくらべてください。

     

    私の最初の(そして、おそらく最後になるだろう?)結婚式では、オープニングに『SONG OF THE WIND』をかけた。

    で、エンディングに『SAMBA PA TI』を流した。

    ちなみに結婚式は四月下旬におこない、その数日後、私は二十六歳になった。

     

    私がこの世とオサラバしたら、気の置けない方々、敬愛してやまない方々、本当にお世話になった編集者の方々に集まっていただきたい。

    もちろん、そういう方々だから大人数にはならない。

    私が愛飲した、うまい日本酒に盃を傾けながら、『SONG OF THE WIND』にも耳を傾けてほしい。

    私は『SONG OF THE WIND』のような印象の人間になりたいが、おそらく最後まで『SAMBA PA TI』みたいな曲調のままだと思う……。

    そして、この時には私の悪口をいわぬよう。聞こえたら、すぐに棺桶のフタを揺らしますよ。

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