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書き下ろし小説、増田晶文は悶絶。

2018年はずっとこの一作『絵師の魂 渓齋英泉』にかかりきりでした。 書くべきことは自明だし、ストーリーも出来上がっているのに、 なかなか筆が進んでくれませんでした。 もちろん、これまでの単行本でも苦渋やら苦吟はあったのですが、 『絵師の魂』は格別……おおげさではなく、 ほとんど一年の間のたうちまわる始末でした。 脱稿したときは、歓びよりも、 ホッとした気持ちのほうがずっと強かったほど。 かつて新島襄や蔦屋重三郎を題材にしたときに比べ、 英泉には過剰に増田晶文を投影したからか……。 いえいえ、物書きがどれだけ難儀をしても、 それが作品の出来に直結できていなければ、 ただの遠吠えということは重々承知しております (そして、こうして幕の内側を披露するのはよろしくないことなのかも)。 でも――そんなこんなの意味も含め、 より多くの皆さまにご高覧いただき、 ご評価をたまわりたい、愛着ある作品です。


平成30年12月

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