• Essay#4 四月に生まれて、春のこと

    Posted on 4月 24, 2013 by in Essay&Column

    四月について、心に浮かぶよしなしごとを、つらつらと書きならべます。

    めずらしくも、連続してアップいたします。

    四月は私が生まれた月です。

    春は私にとって、いちばん親しみのある、なつかしくてやさしい、どこかくすぐったい季節です。

     

    【春の歌】

    春をテーマにした歌では、まず万葉集で志貴皇子が詠んでいるこの一首をあげなきゃ。

     

    岩走る 垂水のうえの早蕨の 萌えいずる春に なりにけるかも

     

    春の息吹、若々しさ、清冽さが見事に凝縮され、鮮明にビジュアル化されている。

    萌黄とその周囲の濃い緑、ふりそそぐ日光、クリスタルのように輝く湧水の輝きが、心の眼にとびこんでくる。

    春もののジャケットを脱ぎ、流れおちる清水を手ですくう。まだ冷たさが勝っているものの、そこに真冬の厳しさはない。

    どこかで、まだレッスンの途中のウグイスが「ホケ、ホホ、ホケチョ」なんて調子で鳴いているのも聞こえてくる。

     

    万葉仮名で書かれた「原典」をみると、この歌はもっと春について教えてくれる。

    「石激(いわばしる)」

    春のもつ、若々しさとラディカルさ。春の狂気ともいうべき、尋常ではない力強さ。

    春は激しい季節。

    「毛要出春尓(もえいずる)」

    春が生命の誕生、芽吹きの季節だということとはもちろん、私はこの「毛」という字句で第二次性徴を連想してしまうのだけど、それを非難されてもなあ。春というのは、大人になりそうで、なりきれない、なんだかコッパズカしい季節でありますよ。

    私はアラフィフというのに、いまだに「春」のままでございます。

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