
作家 増田晶文 Novelist; Masafumi Masuda_Novels

明治の世が来る直前に散った強烈な幕臣。
「新しい日本」を企図したラスト・サムライの壮絶な半生。
動乱の幕末――無名ながら最もスケールの大きな武士 小栗忠順(おぐりただまさ)が西郷隆盛、勝海舟、徳川慶喜たちと対峙する!
大河ドラマ「逆賊の幕臣」放映にさきがけ、小栗忠順を描きました。
忠順も蔦屋重三郎と同じく馴染みのない人物でしょう。
だけど、これからは忠順の名もかなり広まるはずです。
『最後の幕臣 小栗忠順 挫けども折れず』は史実を踏まえ、激烈だった忠順の半生を紡ぎました。ドラマとは、ひと味もふた味も違う世界が待っています――。
小栗忠順は幕末を疾駆した最後の幕臣。
小栗家は徳川家康の祖父の時代から仕えた、武功の多い筋金入りの旗本です。
忠順も剣、弓、体術、馬術など武芸百般に通じていただけでなく、計数に明るく、先見の明に富んだ人物でした。勘定奉行や江戸町奉行、外国奉行、軍事など幕政の主要役職を歴任。知性と行動力のみならず、胆力を備えた侍です。
何より彼の武骨ぶり、毅然さはもちろんユーモア&エスプリ、家族に注いだ愛情も知っていただきたいです。
増田晶文による小栗忠順、なかなかの好漢だと思っております。
忠順は遣米使節団として太平洋を渡り、列強の先進性と底力を五感で体験します。
「日本は〝鉄〟の時代をつくらなければ、世界に伍すことができない」
忠順は製鉄所建造へ邁進します。忠順が企図した日本の将来像は明確でした。
鉄があれば、戦艦や大砲、銃の製造で海外勢力に対抗できる。それどころか江戸の、日本の民の生活がぐっと豊かになる。そして何より、彼は鉄の国家をつくるためには、小さな螺子からスタートすることを知っていたのです。
しかし、倒幕勢力にとって小栗忠順の存在は厄介なものでした。
一部の幕臣が反幕軍と一脈を通じていたのとは異なり、忠順は一貫して徳川幕府の継続を模索します。でもそこは忠順、幕藩体制の旧弊を改め、欧米流のより民主国家に近い体制も視野に入れていました。
だからこそ、西郷たちは忠順の存在を恐れます。
それゆえに、散っていくしかなかった忠順。ぜひこの小説をご一読ください。
ジャンル: 歴史小説
徳間書店
2026年3月31日

7冊目の小説『たわけ本屋一代記 蔦屋重三郎』を上梓しました。
本書の編集担当が考えてくれた紹介文です―
出版王の反骨精神はいかにして生まれ、散っていったのか。生き別れた両親、花魁への初恋、波乱万丈の人生を支えた妻・とせによる内助の功など、稀代の本屋の知られざる一面を描き出す感動の長編小説。文化の担い手を「武士や豪商」などの富裕層から「庶民」へとひっくり返し、幕府による弾圧にも「笑い」で対抗。江戸庶民は彼を「蔦重」と呼び、喝采を浴びせた。その鋭敏な感性、書き手を虜にする人間性、したたかな反骨精神を描く蔦重本の決定版!
「蔦屋重三郎」がサブタイトルにつく作品、私にとっては実に4作目。
最初が2016年に発表した小説『稀代の本屋 蔦屋重三郎』
次に新潮選書の『江戸の反骨メディア王 蔦屋重三郎』
そして、日刊ゲンダイに2024年6月から半年間、123回にわたり連載した『戯家 本屋のべらぼう人生 蔦屋重三郎外伝』―この連載の単行本化が4回目、本書です。
いずれも、江戸の本屋にして2025年NHK大河ドラマ「べらぼう 蔦重栄華乃夢噺」の主人公である蔦重の生涯を描いています。ここまで何度も、しつこく彼の一生に喰らいついた作家は私くらいでは?
『たわけ本屋一代記』の母体が「蔦重外伝」なのは、『稀代の本屋』を「正伝」と位置づけたからです。それだけに、外伝にふさわしい魅力たっぷりの小説、他の作品で書かなかった事々を中心に描こうと強く意識しました。
とはいえ、作品を貫く「蔦重の生涯」というタテ軸は外伝も正伝も変わりはありません。だけど重政や春町、喜三二、京伝に歌麿といった、ヨコ軸の人物たちの言動はかなり異なります。しかも、『たわけ本屋一代記』には正伝にない新しいキャラクターが満載。彼らの人物造形や展開こそ『たわけ本屋一代記』の大きな特色です。とりわけ、育ての親の叔父利兵衛や義兄の次郎兵衛、遊女たちに活躍してもらいました。さらには田沼意次と松平定信という、蔦重の本屋人生の背景を形づくる政治家、妻の存在も大きな役割を果たします(私のお気に入りは利兵衛と次郎兵衛です)。
最後に大河ドラマの主演の横浜流星さんが、本書の帯に整った顔(かんばせ)の写真と一緒に寄せてくれた蔦重に対するメッセージを。「江戸を文化的に豊かにしただけでなく、今のポップカルチャーの基礎をつくった人だと思っています」
ジャンル: 時代小説
日刊ゲンダイ/講談社
2025年1月31日

吉原の貸本屋から出版業をスタート、18世紀の江戸でいちばんの本屋、当時のメディア王になった蔦屋重三郎の生涯を豊富な資料をもとに執筆しました。
新潮選書(新潮新書じゃないのでご注意)は教養書、蔦重のすべてが読んで身につく。
蔦重は「粋」と「通」に裏付けられた江戸の美学を黄表紙と狂歌で体現した江戸の名物男。
その本屋人生の前半は「戯家(たわけ)の時代」――朋誠堂喜三二や恋川春町、大田南畝(四方赤良)、山東京伝、北尾重政、勝川春章ら文人墨客を束ねた。
当時の政治の主役は田沼意次。重商政策と贈収賄、善悪ごちゃまぜながら景気昂揚イケイケドンドンの時代!
蔦重の書肆「耕書堂」にはそんな空気を反映したお気楽な絵草紙が山積み……でも誤解なきよう、蔦重や戯作者、狂歌師、画工たちは決してホントのバカじゃない。文画のエリートたちがバカのふりしてバカをする。そんな諧謔と韜晦の時代だった。
蔦重そして耕書堂の後半生は「反骨の時代」――安永、天明の為政者田沼が失脚、かわって寛政の世は直実謹厳の松平定信が幕閣の中心に――「寛政の改革」がスタートする。
贅沢ダメ、豪遊ダメ、美食にお洒落もダメダメ。
お勉強と武芸鍛錬一色のブンブブンブと夜も眠れぬご政道。
そこで蔦重は戯作でご改革をおちょくり倒すことで遺憾なく反骨ぶりを発揮した。
でも、定信だって黙っちゃいない。
何と蔦重は財産半分没収の重罰に……耕書堂は絶体絶命の経営危機!
だが、これで蔦重の反骨心はいっそう燃え立つ。次は浮世絵、喜多川歌麿の艶香ただよう美人大首絵で錦絵の新時代を切り拓き、役者絵では東洲斎写楽を発掘し大いに気を吐いた。
18世紀後半を疾風の如く駆け抜け、時代を「戯家」と「反骨」に染め抜いた稀代の本屋蔦屋重三郎。京伝、歌麿、写楽に曲亭馬琴、十返舎一九らの才能を見出した、波乱万丈の人生を関連資料と作家の視線でまとめた一冊です。
ジャンル: 教養書(新潮選書)
新潮社
2024年10月25日

「河内の土くれから生まれ、大和川の水を呑んで大きなった。
わしが河内の総大将、楠木正成や!」
新しい世の中を河内から――。
楠木正成は1000人に満たない寡兵で、巨万の鎌倉北条軍と対峙する。
「土ン侍」を自認し、河内の地と民、配下の一党、さらに妻と息子たちをこよなく愛した猛将。
奇想天外な作戦で幕府軍を翻弄した智将。
政情、人心の激変にも己の姿勢を貫いた熱将。
それが、楠木正成。
元弘元年(1331)の下赤坂城の戦いから、千剣破(千早)城の戦いを経て、
建武3年(1336)の湊川の血戦までの5年間が本書で描かれる。
熱風のごとく生きた、新しい楠木正成がここにいる。
全編を貫くイキのいい河内弁、小気味いい文体にのって躍動する楠木正成。
加えて、正成の片腕たる実弟・正季はじめ楠木一党の面々、ライバル足利尊氏や後醍醐帝、
大塔宮護良親王などなど登場人物もユニークそのもの。
500ページオーバーの上製本。分厚い、重い、値段もチト高い。
でも猛烈におもしろい。
最後まで、リズムよく一気に読んでいただけるはず。
最終章は10回読んだら10回泣けます。
ジャンル: 歴史小説
出版社: 草思社
刊行: 2023年9月6日






















